the Surfside Stomp
- History of Jazz -

ジャズを楽しむのに理屈は要りません。
ストンプを聞くのにも理屈は要りません。

だけどジャズの黎明期の話を知っていると、
ちょっぴり得した気分になるかもしれません。
そんなわけで、ジャズの歴史をひもといてみましょう。


ラグタイム

我々が親しんでいるジャズは20世紀の幕開けとともに誕生しました。そのジャズ切ってもきれないのが「ラグタイム」という音楽です。ラグタイムの最盛期は1895年から1920年ごろまでと言われています。独特のリズムと節回しを持つラグタイムは、ごく短期間のうちにアメリカ全土のみならず、ヨ−ロッパにまで広がり、クラシックの作曲家たちにも大きな影響を与えました。

1973年のアメリカ映画「スティング」のテ−マ「エンタ−テイナ−」の作曲者であるスコット・ジョプリン(1868〜1917)は、1899年に発表した「メ−プル・リ−フ・ラグ」の大ヒット以来、「ラグタイム王」の名を欲しいままにしました。

ラグタイムで使われたピアノの奏法(ストライド奏法)はジャズピアノ奏法に受け継がれました。さらにスイングジャズやブギウギへと発展し、現代のジャズの中でも脈々と生き続けています。また、左手のリズムは崩さずに、右手でスインギ−なシンコペ−ションを弾いたり、演奏者の個々のスイング感で即興演奏を生み出す可能性を多分に含んでいることなども、ジャズのル−ツといえます。

ストンプのステ−ジでは、名ピアニストのドクタ−松井が「エンタ−テイナ−(スティングのテ−マ)で素晴らしいストライド奏法を披露してくれます。

ニュ−オリンズスタイル

しばらくするとピアノを中心としたラグタイムに対して、トランペットやドラム、バンジョーなどを入れた小編成のバンド形態が発生します。この小編成が「コンボ」と呼ばれ、今日のジャズ・バンドの原型になったとも考えられます。

コンボ編成で人気を博した(サウンドはラグタイムだったようですが)のが、コルネット奏者のバディー・ボールデンで、彼は世界初の「ジャズ・メン」であるといわれています。自らも「ジャズは俺が1902年にニューオーリンズで作った」と豪語していたそうです。その強力なキャラクターが災いしてか、1907年彼は演奏途中に発狂してしまいます。

バディー・ボールデンを初めとするニューオリンズの黒人ミュージシャンの多くは、本業をほかに持つかたわら、夜になるとニューオリンズの歓楽街であるストーリヴィルや、周辺に建ち並ぶ売春宿や酒場、ダンスホール、キャバレーなどに雇われ演奏しました。ときには、昼間のパレードや葬儀などに駆り出され、ブラス・バンドの一員として演奏しました。

夜の狭い職場では、楽器編成も縮小されましたが、最初のうちはその編成に定型的なものはなかったようです。やがて、コルネット(またはトランペット)とトロンボーン、クラリネットがフロントラインを構成し、それにピアノやバンジョー(またはギター)、ベース(またはチューバ)、それにドラムスという三管四リズムの編成が、初期のジャズの標準編成となりました。そうです。ストンプのスタイルは1910年頃の編成だったのです。

ダンスホールやキャバレーで大活躍の黒人ジャズメンたちは、白人ダンスバンドとは一味も二味も違った、バイタリティーに富むスインギ−でリズミカルなダンス音楽を演奏し人気を集めるようになりました。ここに黎明期のジャズであるニューオリンズジャズが誕生しました。

このようにしてジャズとしての形が曲がりなりにも出来上がったニュー・オリンズ ジャズは、20世紀初頭から1910年代にかけてが全盛期でした。ニュー・オリンズでは初期ジャズの巨星が何人か出現しましたが、その多くはコルネット(又はトランペット)奏者でした。

”キング・オブ・ジャズ”の称号を与えられた最初のプレーヤーは伝説の巨星バディ・ボールデン(1877-1931)であり、ジョン・キング・オリバー(1885-1938)やフレディ・ケパート(1889-1933)もその称号を得ました。コルネットは、演奏の主役となるにふさわしいだけの大きな音を出すことができました。加えて、優れた表現力を持ったプレーヤーが輩出したからです。

当時ニュー・オリンズ ジャズを中心に演奏活動をしていたジャズメンの多くは、ミシシッピー川を上下するリバーボート(蒸気で動く外輪船が有名な奴です)に乗って演奏をしていました。その結果ニューオリンズジャズは、ミシシッピー川に沿って上流へと伝わり、メンフィスからセントルイス、カンザス・シティ、ダヴェンポート、そしてシカゴなどの音楽家たちも、フェィクやアドリブといった即興演奏を大幅に取り入れたニューオリンズジャズのスタイルを取り入れていきました。

(続く)

参考文献:
  「ジャズの黄金時代とアメリカの世紀」大和明著 音楽之友社
  「スコットジョプリン ピアノ名曲集」野口久光監修(株)ドレミ楽譜出版社


the Surfside Stomp
- Web Session -
Homeライブ情報プロフィールトピックス写真館Jazzの歴史


Copyright (c) 1991-2017, the Surfside Stomp
inserted by FC2 system